[category]
[title]
高円寺のひっそりとした南エリアに、2023年11月に開業した書店「ヤンヤン」。飲み屋が並ぶ高円寺のガード下を離れて数分、こんなところに本屋が?と思う場所に看板が立つ。
人一人がやっと通れるほどの狭くて急な階段を上っていくと、数メートル四方の小さな本屋が出現する。2階だが、秘密めいた屋根裏部屋に上るような気分。そこには、店主がセレクトした小説や評論、エッセーなどとともに、日記をはじめとする人の「記録」をテーマにした書籍を揃える。
例えばZINEの『地震日記』は、2024年1月1日に発生した能登半島地震の5日間の体験を鹿野桃香(かの・ももか)がスマートフォンにつづった記録だ。鹿野が同店を訪れたことがきっかけで、書籍化に結びついたという。
同日記は話題を呼び、自費出版ながら3版を重ねた珍しい例だが、店主はマスマーケットに乗らない「小さな声」の記録を拾っていきたいと考えている。亡くなった祖父の日記を読み、知らなかった祖父の姿を「発見」した経験から記録に引き寄せられたのだという。住む場所や生きた時間が違えども、無名の人の書き残したものに触れて、響き合うものを感じ、つながりを見いだせれば、「世界」の見え方も変わっていくだろう。
店頭には店の名の由来である、台湾の巨匠エドワード・ヤン(Edward Yang)の遺作で、2025年12月に4Kレストア版が公開される『ヤンヤン 夏の思い出』のDVDが立てかけてある。
Discover Time Out original video